伊勢神宮祝詞について


伊勢内宮神前祝詞

かむかぜのいせのくに さくすずいすずのはらの
神風の伊勢国 拆鈴五十鈴原の
しもずいわねに おおみやばしらふとしきたて たかまのはらに
底津石根に 大宮柱太敷立 高天原に
ちぎたかしりて しずまりまします
比木高知て鎮り座坐す              
かけまくも あやにとうとき あまてらすすめおおみかみ
掛巻 も綾に尊き 天照皇大御神 
またのみなは つきさかきいずのみたまあまかざるむかつびめのみこと
亦の御称は撞賢木厳之御魂天疏向津比売之命 
またのみなは あまてらすおおひるめのみことの
亦の御号は天照大日孁之命の 
おおみかどを いわいまつりて いわまくもかしこれど
大朝廷を祝斎て 云巻も畏加礼と 
あまつひつぎしろしめすすめらみことのおおみよを
天津日嗣知食皇命の大御代を                  
ときわにかわにまもり たてまつりたまい
常磐に堅磐に護り奉給ひ 
うつしきあおひとくさをもめぐみさきわえたまへる
現き青人草をも恵み幸へ給へる 
ひろくあつきみめぐみにむくいたてまつると
広く厚き御恩頼に報ひ奉ると
たたえごとおえまつりておろがみたてまつるさまを
称辞竟奉りて拝み奉る状を 
たいらけく やすけく きこしめせとかしこみかしこみまおす
平けく安けく聞食と恐み恐みも白す


伊勢神宮祝詞


伊勢神宮祝詞(いせじんぐうのりと)は、伊勢神宮で行われる祭祀の中で唱えられる特別な祝詞です。日本で最も尊崇される神社である伊勢神宮には、天照大神(あまてらすおおみかみ)が祀られており、国の平安と五穀豊穣を祈願するために様々な神事が行われています。伊勢神宮の祝詞は、こうした神事において神々に感謝や祈りを捧げるもので、日本の神道文化の中でも特に格式高い祝詞とされています。

伊勢神宮祝詞の歴史と背景


伊勢神宮での祝詞の歴史は非常に古く、天武天皇や持統天皇の時代には既に伊勢神宮が国家の信仰の中心とされ、天皇自らが祈願を行う際に祝詞が唱えられていました。また、平安時代にまとめられた『延喜式』にも伊勢神宮に関する祝詞が含まれており、当時の国家行事や季節の祭祀に合わせた様々な祝詞が定められていました。


伊勢神宮祝詞の役割


伊勢神宮祝詞は、伊勢神宮の神職が宮中や現地での神事で奏上し、特に年始の「歳旦祭(さいたんさい)」や10月の「神嘗祭(かんなめさい)」、毎月1日と15日に行われる月次祭(つきなみさい)などの重要な行事で唱えられます。これらの行事は、国全体の安寧や五穀豊穣、天皇と国家の安泰を願うものであり、祝詞はその祈願を神々に届ける重要な役割を果たしています。

伊勢神宮祝詞の構成と特徴

伊勢神宮祝詞は、他の神社の祝詞と比べても特に格式が高く、言葉遣いや内容が厳粛で美しい表現で綴られています。祝詞の中には、天照大神を讃える言葉や、日本の国土と自然への感謝の意が盛り込まれており、伊勢神宮の神聖さや日本の精神性を感じさせます。一般的な祝詞の構成と同様に、次のような要素が含まれています。

1. 発端(かんよ):神々に挨拶し、祝詞を奏上する目的を述べる部分。伊勢神宮祝詞では、「天照大神に謹んで祈り申し上げます」といった表現が用いられ、神聖な雰囲気が醸し出されます。


2. 本題(ほんだい):具体的な祈願や感謝を述べる部分。この中では、国民の平和や豊かな収穫、天皇の長寿と安泰などを祈る言葉が述べられ、伊勢神宮が国家の平安を象徴する場所であることが強調されます。


3. 結語(けつご):祝詞の締めくくりとして、神々の加護を改めて願うと共に、祝詞を捧げる謙虚な姿勢を示す言葉で終えます。



伊勢神宮祝詞と現代の意義

現代でも、伊勢神宮の祝詞は特に重要視されており、毎年の定例祭や皇室関連の行事で唱えられています。たとえば、10月に行われる「神嘗祭」では、天皇が自らの収穫を神前に供え、感謝と祈願の祝詞を捧げる伝統が続いており、皇室と伊勢神宮の深い繋がりが強調されています。

また、伊勢神宮は毎年多くの参拝者を迎え、特に日本人にとっての精神的な支柱とされています。伊勢神宮祝詞に込められた言葉は、単に古代からの形式を守るだけでなく、現代に生きる人々の心にも響く普遍的な祈りや願いの言葉とされています。そのため、神職が唱える祝詞を通じて、日本人が古代から大切にしてきた自然への感謝、家族や社会の安寧への願いといった価値観が現代まで継承されています。

伊勢神宮祝詞の文化的価値

伊勢神宮祝詞には、日本古来の「ことば」に対する信仰や美意識が色濃く反映されています。祝詞の言葉遣いや表現は日本語の文芸においても重要な影響を与え、和歌や物語、伝統芸能にもその美意識が流用されています。祝詞の言葉には「言霊(ことだま)」が宿るとされ、唱えること自体が神聖な行為とされているのです。

このように、伊勢神宮祝詞は単なる神事の言葉にとどまらず、日本の文化や精神性を支える一つの柱として存在しているといえます。

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