崇神天皇（すじんてんのう）は、日本神話と伝説における第10代天皇であり、古代日本の基盤を築いた天皇として知られています。その事績は『古事記』や『日本書紀』に記録されていますが、歴史上の実在が確かであるかは議論が続いています。崇神天皇は「御肇国天皇（みはつくにのすめらみこと）」とも称され、国政を安定させるために様々な改革を行ったとされています。
信仰と軍事
崇神天皇は父・開化天皇の跡を継ぎ、奈良盆地にあった磯城瑞籬宮（しきみずがきのみや）に都を定めました。彼の治世の最大の特徴は、国家統治の体制を整えるために、信仰や軍事面で改革を行った点にあります。特に、疫病の蔓延が国民を苦しめていた際、崇神天皇はこれを神々の怒りと考え、国土平定と神の信仰を強化するための改革を推進しました。
皇室と神道
崇神天皇は三種の神器の一つである神剣（天叢雲剣、または草薙剣）を分祀し、天照大神を祭る神宮を設立したとされています。この出来事は、後に伊勢神宮が創設される前史とも考えられています。また、崇神天皇は自身の皇子である豊鍬入姫命（とよすきいりひめのみこと）に天照大神を祀らせ、彼女を「斎宮」に任命しました。これにより、皇室と神道の信仰がより深く結びつく基盤が築かれたとされています。
ヤマト政権
軍事面では、当時ヤマト王権に対して反抗的であった地方豪族との戦いもありました。特に、四道将軍（しどうしょうぐん）と呼ばれる将軍を各地に派遣し、周辺地域を平定したと伝えられています。この軍事行動により、崇神天皇はヤマト王権の勢力を拡大させ、国内の統一に向けた一歩を踏み出しました。
崇神天皇の治世は、国家統治の基礎が確立され、皇室の祭祀体制が整備された時代といえます。彼の治世に行われた諸改革は、後の天皇の統治にも影響を与え、日本国家の礎となる重要な役割を果たしました。
