古事記について
古事記とは
『古事記(こじき)』は、8世紀初頭に成立した日本最古の歴史書で、日本の神話、伝説、天皇の系譜、そして初期の歴史が記されている書物です。成立は712年で、太安万侶(おおのやすまろ)が編纂を担当し、稗田阿礼(ひえだのあれ)によって語られた内容を文字に起こしました。『古事記』は、神々の物語を描く「神代(じんだい)」から、初代天皇とされる神武天皇の即位、さらには雄略天皇に至るまでの歴史を伝えています。
成立の背景
内容構成
『古事記』は全三巻から構成され、それぞれ「上巻」「中巻」「下巻」と呼ばれます。
1. 上巻 - 神代の物語
上巻では、天地開闢(てんちかいびゃく)から始まり、日本の神々の誕生とその物語が描かれています。特に、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の神話や、太陽神である天照大神(あまてらすおおみかみ)に関する伝説が含まれています。この部分は、古代日本人の世界観や自然への畏敬の念が色濃く反映されており、神話の中には創世神話や農耕文化に関連する話も多く見られます。
2. 中巻 - 初代天皇の神武天皇
中巻では、神代から人代へと移り、初代天皇とされる神武天皇が即位する物語が語られます。神武天皇は、天照大神の子孫として、大和地方を平定し、日本の初代天皇として即位したとされています。この章は、天皇家の起源を示すとともに、奈良地方を中心とした勢力が形成された過程が神話的に描かれています。
3. 下巻 - 歴代天皇の物語
下巻には、神武天皇から雄略天皇に至るまでの歴代天皇の物語が記されています。この部分は、歴史書としての性格が強く、天皇の系譜や一部の天皇の事績が伝えられています。特に、雄略天皇の章は人間味がある物語が多く、天皇個人の逸話を通じてその時代背景や人々の生活が垣間見える内容になっています。